大阪市製材業協同組合 - 地球のために木を使おう

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組合の活動

第三回講演会「森は海の恋人」を開催しました

 平成25年11月20日(水)午後6時30より、住之江公園前のオスカーホールで第三回講演会「森は海の恋人」を開催しました。運悪く当日は年に数回しかないオスカードリームの休館日と重なり、来場者のみなさんには本当にご不便をおかけしました。
しかし、製材組合員はもちろん組合員以外の方も大勢助っ人に駆けつけて、案内をして下さいました。来場者は280名を超す大盛況となりました。講師の畠山重篤氏は、エッセイストとしても著名な方で、すでにたくさんの本を出していらっしゃいます。この日も3種類の著書を持って来られました。サインをしていただけるということで飛ぶように売れ、完売しました。


 講演会は、津田綾子PR委員の司会で始まりました。尾崎龍一大阪市製材業協同組合副理事長の挨拶の後、いよいよ畠山氏の登場です。畠山氏は、森と海の強い結びつきを研究し、豊かな海のためには豊かな森が必要である。と、25年も前から気仙沼湾に注ぎ込む川の上流の山に広葉樹を植え続けてきました。
 以下、講演の内容をご紹介いたします。


 『私は、宮城県気仙沼で牡蠣と帆立の養殖をしています。このたびの東日本大震災では、私の養殖場も周りも甚大な被害を受けました。海辺から生き物の姿が消えてしまったので、もう海は死んでしまった、魚は帰ってこないだろう、養殖もできないだろう、と思っていました。が、わずか1〜2ヶ月経つと、小魚が戻り、やがて豊かな海が戻ってきました。それを見て、もう一度やり直そうと思いました。海外からもさまざまな支援をいただきましたが、特にフランスは最大の支援国でした。実は、50年ほど前にフランスの牡蠣がウイルスの影響で全滅しかけましたが、それを救ったのが宮城産の種牡蠣だったのです。今回その恩返しをしてくれました。
 なぜ、漁師である私が山に木を植えてるのか?牡蠣の養殖には、水がとても大事なのです。海のプランクトンが増えるにはどうすればいいか?海にそそぐ川を見て、上流の水が大事であると気づきました。東北大学の先生に「森と川と海のつながりはどうなっているのか?」と、聞きに行ったことがあります。ところが、大学の先生は、「大学は狭く深い研究をするところ、隣の研究室で研究していることすら知らない。トータル的な研究はしていない。」と言ったので、自分で研究しました。
 古来より「森は海を、海は森を恋いながら悠久より合い紡ぎゆく」というように、海の生物を育むには、森を見なければいけないのです。山には広葉樹があり、葉が落ちれば森林のバクテリアによって分解され、腐ります。腐ることにより、あとに残る成分が「フミン酸」。またその中で最後に残る成分が「フルボ酸」です。そのフルボ酸に水に溶けている鉄分が結びついて「フルボ酸鉄」となります。フルボ酸鉄は、分子と分子が堅く結びつき、離れなくなっています。こういうかたい結びつきを科学の専門用語 で「キレート」と言います。フルボ酸がないと、鉄は酸素と結びついて「酸化鉄」となり、大きすぎて植物プランクトンの中に入れなくなるのです。
 フルボ酸鉄として森の鉄分が川から流れてこないと、牡蠣のエサになる植物プランクトンは増えないのです。いい森林があって河川水が流れている汽水域は、世界中で大きな漁場になっています。森と海は、川が仲介となり相思相愛の関係です。豊かな水は魚や農産物を育みます。こうした自然の循環を維持するためにも、森を守ることはなにより大切なのです。

 昨年(平成24年)2月に、国連で「フォレスト・ヒーローズ」の表彰を受けました。漁師である私が、フォレスト・ヒーローに選ばれる時代になったのです。つまり、国連が、世界が、森林のことを考える時は海まで視野に入れ、海のことを考える時には森林まで視野に入れている、ということです。

「森は海の恋人」運動を続けるうちに、海外でもその活動が紹介されるようになりました。その時英訳されたのが、「Lover」や「Like」「Sweetheart」などでした。
その言葉は私の思いとは、大きくかけ離れていました。なとかぴったりくる英訳ができないものか?と思案し、悩み、なんと美智子皇后陛下にご相談申し上げたのです。以前、ご進講に伺ったことがあり、それ以後親しくさせていただいているのでお願いいたしました。
 皇后陛下からは、「The see is longing for the forest」という実に素晴らしい英訳を頂戴いたしました。「Long for」=「慕う」という極めて上品な表現は、聖書に根差した言葉です。私の思いにぴったりでした。

 これからもたくさんの人の協力を得て、「森は海の恋人」運動を続けて行きます。
大阪でも、5月に「ウナギを淀川に取り戻そう」と「ウナギの森づくり」が始まったと聞いています。三陸沖には、アムール川で作られたフルボ酸鉄が流れてきていることがわかりました。だから、アムール川の森も守らなければいけません。これからは、ロシアや中国にも「森を守ることの意義」を伝えていかなければなりません。世界中で森を守らなければいけないのです。』

 最後に有馬啓子PR委員長より、講師の畠山氏に感謝の意を表すとともに、来場者のみなさんや、講演会に協力いただいた各団体にお礼を申し上げて、2時間に及ぶ講演会は終了いたしました。

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